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【分散学習と集中学習】 科学的に証明された効率的な復習のタイミング!

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夏休みの宿題って毎日計画的にやる人と、夏休み最後に慌てて終わらせる人の二つに綺麗に分かれますよね。

でもこれってどちらの方がいいのでしょうか。直感的には計画的にやる方な気がします。

実はこれは集中学習と分散学習という呼び方をされている問題で、科学的にどちらの方が良いかが分かっているのです。

この問題は効率的に勉強・復習するにはどうすれば良いかという疑問に答えてくれます。

勉強が嫌いな人も好きな人も効率的に勉強したい気持ちは同じだと思います。

というわけで今日は、最も効率のいい勉強の・復習の仕方をご紹介します!

一夜漬けか 定期的に勉強か

夏休みの宿題と同様に試験にも、一夜漬け派とコツコツ派がいますよね。このうち、どちらが勉強効果が高いのでしょうか。

結論から言うと、同じ時間数を勉強した場合の効果は同程度だと考えられます。

「なんだーならどっちでも良いのか」と思うかも知れませんが、ここには一つ落とし穴があります。

それはテストが終わればどれだけ覚えているかです。皆さんのご想像の通り、一夜漬けは試験が終わるとその内容の多くを忘れてしまいます。

一気に詰め込んだ知識は抜け落ちるのも早いのです。

考えても見てください。花に水をあげるときに一ヶ月分の水を一回であげますか?

そんなわけありませんよね。

花の種類にもよると思いますが、大抵は毎日ちょっとずつ水をあげるはずです。

一回に大量の水をあげると花はどうなるのでしょうか。

大量の水は鉢植えからこぼれ落ちて、花を水を少しも吸収しないまま、枯れちゃうのではないでしょうか。

記憶も同じです。毎日少しずつ勉強する事は、一度に大量に勉強するよりも結果として記憶の定着が良い事がこれまでの研究で分かっています。

勉強時間を分散させる

勉強する総時間を仮に10時間とした時にテスト前に10時間勉強する方法は集中学習と呼ばれています。

その一方で、例えば、2時間を5回に分けて勉強することを分散学習と呼びます。

エビングハウスの忘却曲線でおなじみのエビングハウスはこうした分散学習の効果を研究していました。彼の研究によれば、

「1日に68回繰り返し練習し、その翌日にもう7回練習すれば、12の音節をすらすら書けるようになった。ところが、覚える時間を3日に分散すると、たった38回の練習ですらすら書けるようになった。」*1

とのことです。

つまり、勉強を集中的に学習することよりも、分散させることで、その時間を効率的に使えるということです。

この分散学習には勉強する時間を小分けにするのも重要ですが、もう一つ重要な事があります。それは勉強の間隔をどれだけあけるかです。

最適な勉強間隔は?

この問題の難しいところは、英単語や漢字の様に単純なものを覚える時ともっと抽象的な概念や問題の解き方を覚える時ではその最適解が異なると言うことです。

【勉強する意味】なぜやる気が起こらないのか。モチベーションを上げる4つの方法 の中でも言いましたが、人は覚える時にその意味を覚えています。

上述のエビングハウスの忘却曲線は意味がないものを覚えようとした際の実験結果であり、意味があるものを覚える際はもっと間隔を空けるべきだと考えられます。

むしろ、間隔を空ける事が記憶を定着させることに重要な事が分かっています。

ヨストの法則というある研究*2から明らかになった法則によると、「新しい概念を学んですぐに復習しても記憶の定着を高める効果はあまりなく、1時間後、あるいは1日後に復習すると定着が高まる」*3事が明らかになりました。

なぜ、復習間隔が短いと逆効果なのか

おそらく理由は二つ考えられます。

一つ目は、短い間隔で復習することにより、脳は新しい情報を新しいものと認識しなくなり、記憶に留めようとする努力をしなくなることです。

脳は新しい情報と遭遇した時にそれを長期記憶に保存するかどうかを判断しています。

しかし、頻繁に覚えたい情報に触れることにより脳は新しい情報をそれをもうすでに覚えてしまっていると勘違いしてしまうのです。

これは、多読をする事で、実際は内容を覚えてないのにも関わらず、理解できた様に気になることと似ています。学習によって良くあるこの現象を専門用語では、流暢性の罠と言います。

要するに、教科書なり論文をすらすら読める様になることで、そこに書かれていることを記憶・理解したと勘違いしてしまうのです。

二つ目は、人の脳は忘れかけているものを思い出す作業を行うことで記憶の強化を図ると考えられています。

そのため、間隔が短い復習では、覚えていることの量が多い=忘却が少ないために思い出す作業が十分に行われず、記憶の定着が非効率になってしまうのです。

復習の回数が増えれば、覚えておける期間も伸びる

具体的な復習の間隔を見る前にもう一つ理解しておく必要がある事があります。

それは復習回数に従って、記憶を保持しておける期間も長くなるということです。

例えば、1回目の復習を1日後に行ったとします。そうすれば、その後1週間は記憶を保つ事ができます。

そして次の復習をその1週間後に行えばその後1ヶ月記憶を保つ事ができるといった感じです。

つまり、効果的に分散学習を行うことで、学べる範囲はどんどん大きくなってくるということです。

分散学習は集中学習に比べて、勉強の進捗が悪い様に感じます。

しかし、集中学習はどれだけ勉強しても勉強が身についていないので、長期的に見れば、分散学習が勉強したことを身につけるためには絶対に必要なのです。

受験日から逆算する

最後にもう一つだけ明らかにしておく事があります。それは勉強したことをいつ使うかです。

要するに試験日や受験日はいつかということです。それによって、復習の間隔は異なります。

それではいよいよ、復習の間隔をどうすれば良いか見ていきましょう。

結論から言えば、次の表に従って復習の間隔を決める事が最適です。

試験日までの期間 次の学習までの間隔
1週間 1〜2日
1ヶ月 1週間
3ヶ月 2週間
半年 3週間
1年 1ヶ月

念のために表の見方をを具体的に説明しておきます。

例えば、1年後に試験があるとしたら、次の復習は1ヶ月後に行います。

そして、次の復習は表中では1年と半年の間なので、3週間から1ヶ月後に2回目の復習を行います。

同じ要領で、試験まで残り半年まできたら復習は3週間後に、残り1ヶ月になれば、復習はその前の復習の1週間後というように徐々に間隔を縮めていきます。

留意点としては、上記でも述べましたが、漢字や英単語のように単純な暗記の場合は1度目の復習を表よりも間隔を縮めて行う必要があります。

意味がないものを記憶する場合はその忘却率がそうでないものに比べて高いからです。

この点、英単語などは、今はエビングハウスの忘却曲線に対応して復習ができるアプリがあるので、それに従って復習するのも一つの手です。

復習の回数

復習の回数については諸説あり、研究によって3回や4回の復習で十分という研究もありますが、何回の復習で確実に身につくという保証はありません。

そもそも、記憶を定着させるのに必要な復習の回数は、問題の難易度や先ほどから言っている、単純な暗記か抽象的な概念を覚えるのかでは異なります。

従って、復習を何回すればいいという考え方よりも、覚えたい事が適切に覚えられるまで復習を繰り返す方が事が重要です。

分散学習の効果

主張には根拠が必要です。分散学習には数多くのエビデンスが示されていますので、その中でもエビデンスレベルが高い、二つのメタアナリティクス に基づく研究について午後紹介します。

関連記事:【学生・社会人問わず必須の力】エビデンスベースという考え方 

A Meta-Analytic Review of the Distribution of Practice Effect*4

この研究は1999年に行われた研究で、112の効果サイズを有する63の研究のメタアナリシスにより0.46の全体的な平均加重効果サイズが得られました。

この研究では、分散学習と集中学習での比較化研究において、0.46の効果量を出しています。効果量について、また別途記事にしますが、学習の効果を数値で表したものだと考えてください。

ちなみに宿題の効果量は0.29だと考えられており、分散学習はそれを大きく上回る効果量が観測されました。

そのため分散学習の有効性がメタアナリシスにおいて、信頼性高く示された研究の一つだと知られています。

また、論文内では個別の研究のデザインの精度が低いほど、効果量が低くでるとの主張もされており、分散学習の効果量が0.46よりも高い可能性も示されています。

Distribution of Practice in Motor Skill Acquisition: Learning and Performance Effects Reconsidered*5

この研究は1988年に行われた研究で、52の効果サイズを有する52の研究のメタアナリシスにより0.96の全体的な平均加重効果サイズが得られました。

これまで、運動と分散学習についての研究は多くありました。つまり、集中的に練習を行うことによって、運動パフォーマンスを下げるという研究結果です。

これに対して、学習についてはこのメタアナリシスを行うまで分散学習が学習の効果を得られるというコンセンサスは得られていませんでした。

この研究の価値は、そうした合意が得られていない状況において、0.96という非常に高い効果量を示したことです。

まとめ

ここまで見てきた通り、復習を効率的に行う最適な方法は分散学習における学習を行うことです。

確かに一夜漬けや長時間勉強を行う集中学習は勉強をやっている気にさせます。

しかし、これまでの研究結果でも明らかなように、分散学習には、記憶を定着させ、長期的に復習時間を削減する事が可能です。

今日ご紹介した復習の間隔を参考に勉強時間を最小化し、効率的に勉強を進めて、受験や試験などの目標をクリアしていきましょう。

 

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