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【成功を決める考え方】マインドセット-研究結果から見える事-

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これまで2回、マインドセットについて見てきました。1回目はその概要。

2回目はどうすれば、グロースマインドセットになれるか。

そして、3回目の今回は最新のマインドセットの研究をまとめます。

今回改めて、研究を調査して分かった事は、必ずしもポジティブな結果だけではないという事です。後述するようにマインドセットの違いはそれほどアウトカムに影響を及ぼさない可能性を示唆する研究も出ています。


その一方で、この理論はまだ提唱されて間もない理論なので、研究段階であるという認識を持つ事が重要だと思います。
それでは、研究を見ていく事にします。

マインドセットと学業の関係性

To What Extent and Under Which Circumstances Are Growth Mind-Sets Important to Academic Achievement? Two Meta-Analyses

研究概要

この研究は、2018年に発表された論文で、二つのメタアナリシスからグロースマインドセットと学業成績の関係について明らかにしています。


一つ目の研究は129の研究から構成され、総勢365,915人のサンプルです。アウトカムは学業成績(GPAと定期テストの点数)。結果の平均相関はr = .10。


二つ目の研究はマインドセットへの介入すなわち、グロースマインドセットへと変化させる介入を行った際の学業成績に与える影響を調べています。


研究数は43で総勢57,155人のサンプルです。アウトプットはマインドセットに介入を行った人と介入を行わなかった人の学力差の平均(標準偏差)。結果は、中級および上級クラスではd=0.03、経済的に裕福ではない人(Law-socioeconomic status)ではd=0.34。

研究結果からわかる事

この研究から言える事は、全体としてマインドセットには学業成績を予測する事ができないという事です。それは、一つ目の研究の相関係数がr-.10と非常に弱い相関(ほぼ0、無相関に近い)事から明らかです。


同旨の研究は他にもあります。例えば、https://www.research.ed.ac.uk/portal/en/publications/does-growth-mindset-improve-childrens-iq-educational-attainment-or-response-to-setbacks-activecontrol-interventions-and-data-on-childrens-own-mindsets(14fbc4c0-839e-492e-ab15-867fb5fabd78).html 
があります。

また、マインドセットの介入も中級・上級クラスの生徒ではほぼ効果がない事がわかります。一方で親が経済的に裕福ではない≒貧困層の子供成績では介入は中程度の有効性を有しています。


貧困層に対するマインドセットの介入が有効なことは他の研究においても明らかにされています。リーディングパフォーマンスの向上に対してマインドセット介入の有効性が示された研究。
https://www.pnas.org/content/113/43/12111.short

研究結果に対する考察

このメタアナリシスでは、マインドセットを提唱していたドゥエックの研究とは逆の結果を示しています。すなわち、マインドセットがグロースマインドだろうが、フィックスマインドだろうが、学業成績には影響を与えないということです。


恐らくこれは、アウトカムとして学業成績(定期テストやGPAの結果)を設定していた事が原因だと思われます。つまり、フィックスマインドの人は自らの能力を証明することをモティベーションとしています。学業成績はわかりやすい形をそれを表現できる手段であり、フィックスマインドの人はテストの点数に固執する事が予測されます。


一方で、グロースマインドセットの人は点数ではなく、勉強した結果、何を学んだかに焦点を当てています。もちろんその努力の結果として点数につながることはあるのかもしれませんが、それそのものをモティベーションにすることはありません。


そのため、フィックスマインドセットの人はテストの点数によって自らの才能を証明するために努力した結果テストの成績が上昇し、グロースマインドセットの人も学びを重視し学力が身についた結果、成績が上昇すると考えられます。結果として、両者の学業成績とマインドセットには相関が見られなかったのだと考えられます。


また、貧困層の生徒の成績が上昇した理由としては次のように考えられます。中上級の生徒はある程度自分は勉強ができるという自信(それがマインドセットがどちらかに関わらず)を持っていたと想像できます。その一方、貧困層の生徒は家庭環境の影響で勉強に対して自信が持てない、親ができないのだからその子供である私もできるはずがないとの一種の諦めのような気持ちを持っている事が想像できます。


このような心理状態の場合、マインドセットによる介入は効果を持つことは容易に想像できます。つまり、親からの遺伝など先天的なものではなく、自分が努力する事で能力は開発されるという信念を与えてやる事で、勉強に対する諦めからモティベートさせる事が出来るわけです。


これから分かるマインドセット介入の有効性は、勉強をしている生徒の学業成績を上げることではなく、現状勉強を出来ていない生徒を勉強にモティベートさせることに見いだせます。


また、マインドセット介入の利点を挙げるとすれば、そのコストパフォーマンスの良さにあります。介入は大抵の場合、教師や親からの声かけで行われます。つまり、生徒に対し、才能や成績そのものではなく、努力したことを褒めることです。こうした介入にかかるコストは教師や親に対する説明の時間を除けばほぼ0です。にも関わらず、貧困層の生徒に対してはある程度有効な介入手段である事が証明されています。
したがって、大規模な資金を投入して介入を実施することは望ましくありませんが、総合的なコストパフォーマンスとしては良いと言えます。

マインドセットと仕事能力の関係



マインドセットと仕事能力の関係については、その研究をまだまとめきれていないため、後日追記します。

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