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睡眠不足の中高生中学高校の始業時間を朝10時にすべき理由  

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睡眠に関する記事の第3回目の今回は少し教育的な話になります。少し振り返ると、前々回は最適な勉強時間と睡眠不足の際に起こる悪影響について書きました。

前回は睡眠の質を上げるためにはどうすればいいのかについて書きました。

そして、今回は睡眠不足と学力の関係についての話です。端的にいえば、今の中高生は寝不足でそれもそれを強要されているのではないかという話と睡眠不足が招く問題についての話です。それでは順を追って見ていくことにしましょう。

睡眠不足の中高生

まずは現状を把握しましょう。これまでの主要な統計データを時系列に並べてみます。

中高生の睡眠時間

1. ベネッセ教育総合研究所 第1回子ども生活実態基本調査報告書 (2004年)
高校生の50.1%は6時間未満、92.6%は7.5時間未満となっています。

2.ベネッセ教育総合研究所 放課後の生活時間調査 (2008年)
高校生(n=1,822)中学生(n=3,592) 割合は不明ですが、高校生平均で6 時間半の睡眠。

3.ベネッセ教育総合研究所 第2回放課後の生活時間調査(2015年)
高校生(n=1,620) 中学生(n=3,282) 上記の調査の第2回。

4.文部科学省 睡眠を中心とした生活習慣と子どもの自立等との関係性に関する調査の結果 (2015年)
高校生の9割以上が8時より早く起床し、85%が11時より後に就寝している。睡眠時間の平均は分からないが両者のボリュームゾーンが12時に就寝7時起床であることから7時間睡眠程度て推定できる。

中高生の始業時間

次に中高生の始業時間について調べてみる。始業時間についての統計は出てこなかったものの、上の統計の起床時間からある程度の想像は出来そうです。8時半前後が平均的だと思われます。

具体的な高校名を出すのを控えるため、引用はしませんが、いくつかの高校のHPでは、おおよそ8時半から遅くても9時くらいまででした。九州の高校では0限目と称して朝7時ごろから授業をやっている高校もあるようですが、一部の例外なので、ここでは取り上げません。

ただし、部活の朝練を考慮すると、登校時間はもう少し早くなりそうです。私の記憶では、朝は7時過ぎには登校していたような気がします。

現状の睡眠環境は学生にとってどうか

先ほどの文科省のデータでは、現在の睡眠時間に対する満足度について質問しています。結果は以下の通りです。十分ではないが31.5%います。

さらに、学校がない日の起床時間についてのデータが次の表です。

先ほどの起床時間に比べて全体的に遅くなっていることがわかります。皆さんも学校のない日はゆっくり寝たいと思っていたことでしょうからこのデータは納得感があると思います。多くの会社員の方のデータを取っても同じような感じになるのではないでしょうか。

しかしながら、これは非常に問題なのです。全体の46%の高校生が平日よりも休日の方が長く睡眠時間を取っています。一般に休日と平日の睡眠時間の差が2時間以上違う場合、平日の睡眠が不足している可能性が高いと考えられています。多くの生徒は睡眠不足状態にあることが想像できます。

上記の調査では3割以上の生徒が睡眠不足を感じているとの結果が出ており、また、睡眠不足の人は自分が睡眠不足であることに気づかない傾向がある(以前の記事参照)点を考えると、割合はもっと多くなりそうです。


統計データから見る限り、過半数は占めないものの約40%程度の高校生は寝不足であると考えられそうです。

中高生と大人では生きている時間が違う

今までの統計データを見て、「なんだ6時間も睡眠をとれば十分じゃないか、朝8時まで寝てるなんて遅すぎる」と思った方もいたかもしれません。

でもちょっと待ってください。彼らに取っての6時間睡眠や7時起床と我々に取ってのそれは果たして同じものなのでしょうか。

一つ例を挙げます。小学生くらいの時、なぜだかわからないけど、朝パッと目が覚められませんでしたか?ラジオ体操に早朝から繰り出していた人も多いのではないでしょうか。

でも、中学高校くらいから朝起きるのが辛くなってきませんでしたか。ましてや大学生くらいの年齢の時はどうでしょうか。1限の授業は絶対に取らない。2限ですら寝坊しちゃったり、毎日昼まで寝ていた人も多いのではないでしょうか。

その一方で、そんなことはない私は大学生の頃も朝方の生活を続けていたって言う人もいるでしょうし、逆に私みたいに小学生の頃から朝起きられなくて困っていたと言う人もいるかと思います。

これらの現象はクロノタイプと年齢に伴う体内時計の変化によって説明できます。順を追って見ていきましょう。

クロノタイプとは何か

クロノタイプとは睡眠に関する人の性質の事で、早い話が朝方人間と夜型人間といわれるものです。もっとも厳密に朝方と夜型に分けられるのではなく、その真ん中昼型タイプの人も多くいます。

朝方の人は文字通り朝早く起きるのが苦にならないタイプです。彼らは平気な顔で朝5時に起きていわゆる朝活をしてから出社します。多くは目覚ましをかけずとも起きられ、朝一からバリバリ仕事をこなせます。健康の見本として崇められている存在です。

夜型の人はほっとけば昼まで寝ちゃいます(私はこのタイプ)。頑張って8時には起きれたとしても午前中は頭が働かずボーっすごしちゃう人も多く見られます。逆に夜更かしは得意で油断すれば、明け方になっちゃうこともしばしばありそうです。目覚ましは手放せず、朝時間通りに起きるために複数の目覚ましやスヌーズ機能を常用します。不健康の見本として貶められ、中には怠け者の烙印を押される人もいるのでは。

大半の人は朝方と夜型の中間地点にいますが、どちらかというと夜型に傾いている人が多いようです。彼らは朝は起きようと思えば起きられます。でも目覚ましは欠かせないし、わざわざ朝の5時に起きようとは思いません。

そして、残念なことにこうしたクロノタイプは遺伝子によって生まれつき50%程度決まってしまいます。残りは環境要因です。つまり、どれだけ努力しようと夜型の人が目覚ましなしで5時に起きれるようにはならない(なる確率が非常に低い)ということです。

こうしたクロノタイプの存在を意識せずに「朝活」とか「早朝〇〇」や「早起きは三文の徳」といった早起き=健康のイメージを植え付けるのはぜひやめていただきたいと思っています。

朝にパフォーマンスを発揮できる人もいれば、夜にパフォーマンスを発揮できる人もいるだけであり、重要なのは自分にあったリズムで生活するということです。

クロノタイプはこれくらいにして、次に年齢による体内時計の変化について見ていきましょう。

体内時計と年齢の関係

体内時計は聞いたことある人も多いのではないでしょうか。人間には体内に1日を図っている時計があり、このリズムに基づいて、夜眠くなったり朝起きたりしています。

面白い点は体内時計は生まれつき備わっているものではないということです。赤ちゃんの睡眠時間を考えればわかると思うのですが、生まれてから数ヶ月は日中は起きて、夜寝るといった成人と同じリズムでは生活しません。赤ちゃんは数時間ごとに寝ては起きを繰り返し、1日の約70%程度を寝て過ごします。

その後、徐々に体内時計が現代人に合わせていき、小学生くらいまでにはおおよそ日中はずっと起きて夜に一回寝るだけという成人のリズムになります。

しかし、リズムは同じでも同じ時間とは限りません。分かりやすい例が老人です。年を取ってくると朝が早くなるといいますが、あれは実際に体内時計が成人期に比べて早くなるため、早起きになるのです。

そしてそれと同様のことが思春期の子供たちの間でも起こっています。つまり、彼らの体内時計は成人よりも数時間遅いのです。こう考えると10代の時朝起きるのが難しいかったのも無理はありません。中学・高校生にとって7時に起きるのは我々にとって5時か4時に起きるようなものなのです。

現在の子供の起床時間は早すぎる

転職希望のあなたはある会社の募集要項を見ています。条件はこうです。


・無賃金でフルタイムだけど将来役に立つか分からない知識と社会の仕組みについて教えます。
・会社に入ったら強制ではないですが、部活はできる限り入ること。ただし入った場合は土日はありません。
・朝は6時から開始ですが夕方で終わります。部活がある場合は夜まで残ってください。
・夏と冬に1ヶ月づつの休みはあげますが、その間にも仕事はしてもらいます。もちろん部活は毎日あります。

一発でわかるやばい会社ですよね。でも現状の中高生は全員この会社で勤務しているのです。いくつか突っ込みどころがあるかとは思いますが、重要な点は、子供にとっての7時起きは大人にとっての4時か5時おきに等しいということです。

最近は会社でも10時出社の会社が増えてきましたし、フレックスタイム制で何時に出社しても大丈夫な会社もあります。大人の起きる時間は遅くなっているのに、子供だけ遅くならないどころか、土曜日授業が復活し、高校ではありませんが、東大が2015年から1限を8時半からに変更したりと学生だけどんどん朝が早くなっている印象があります。

大切な観点は、朝を早めて授業時間を確保することは学生にとって有用なのか、教育効果が高まるのかという点ではないでしょうか。「学力低下しているからとりあえず授業の長さを伸ばして勉強時間を増やそう」という考えはあまりに短絡的です。勉強の効果は量と質の掛け算によって測定されるはずです。

もし仮に1時間多く授業時間を取ったとしてもその時間寝ていたのではもちろん話になりません。それどころか、授業中の昼寝では同じ時間でも布団に入って寝た睡眠とは効率が異なりますので、結果的にその日の後の授業にも悪影響があるはずです。したがって、朝1時間はやめたことにより、増えた勉強時間よりも睡眠不足による勉強の質の低下の方が影響が大きくなる可能性があるのではないでしょうか。

始業時間を遅くするべき

ここまで見てきた通り、中高生の睡眠時間は短く十分ではありません。睡眠不足による悪影響は過去記事に乗せましたが、睡眠と学習効果は大きな関係があります。睡眠不足では授業中の集中力がなくなるのはもちろん、せっかく学んだことが記憶として定着しません。それでは何のために学校は授業をしているのか分かりません。さらに言えば、睡眠不足は感情をコントロールするのを難しくします。余計な不安にかられたり、怒りを爆発させたりします。思春期にも同じような特徴が見られますが、睡眠不足はこの傾向をさらに加速させると考えられます。

また、彼らの生活リズムは成人とは異なります。現在の始業時間は成人と一緒かそれよりもむしろ早いです。上記でも述べたとおり、毎日4時に起床しなければならない仕事には就きたくはない人が大半でしょう。にも関わらず子供にだけそれを強制するのは、もはや虐待に近いと言えます。

大人には職業選択の自由があるが、子供には特に日本においてはありません。学校教育が全てです。でもよく考えてください。大人であれば、夜型の人は比較的始業時間が遅い仕事を選ぶことができます。子供の場合はどうでしょう。たとえ夜型の子供だったとしても夜型の学校を選ぶことは難しいです。夜間学校はあるが昼間の学校と同じ環境で勉強ができるかといえばそうではありません。

夜型のクロノタイプは研究にもよるがおおよそ10%から15%程度存在しています。そうした子供たちに取って、今の始業時間で学校生活を送ることは控えめに言って地獄でしかありません。そうなると、彼らの睡眠リズムは崩れ、勉強に遅れが出る可能性が高い。それどころかそのままドロップアウトしてしまう可能性すらあります。この状況は決してフェアではありません。特にクロノタイプは遺伝子による影響が大きく、努力では変えることが難しいためです。

そうなると、解決策は見出しの通り、始業時間を遅める事です。そうすることで夜型のクロノタイプを持つ学生とその他の睡眠不足の学生の負担を減らし、学習効果を期待できるとともにドロップアウトしてしまう確率を少なくできるでしょう。

是非とも目先の授業時間を延ばすという考えに囚われるのではなく、より多くの生徒が最大限の力を発揮できる学校体制を構築して欲しいと切に願います。

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